岸井大輔戯曲「文(かきことば)」
上演:2017年12月27日 / 阿倍野長屋(大阪) “岸井戯曲を上演する in Osaka ♯0”にて
構成・演出・振付・出演:古川友紀
岸井大輔戯曲『文(かきことば)』【原文】
日本語は漢字カナ混じり文であるなど、書き方においてまずその特徴を考えることができる。だからか、日本語の劇は主に文章語でなされてきた。ならば、現代日本語演劇を作るにあたり、口語より文章語を劇とする方法を考えることが必要ではないか。
○演出ノート
戯曲『文(かきことば)』の上演にあたって、私はこれと対をなすような主題をもつ『ボルヘス、オラル』を読んでいる。
―― 詩人ホルヘ・ルイス・ボルヘス曰く、「書物は理解されるためではなく、解釈されるために書かれたのであり、それをひとつの刺激にして読者は自分なりに思考を進めてゆけばよい」と。
ボルヘスは、ほぼ盲目の状態で人生の後半生をおくった。その作品は口述筆記によって記され、出版された。先の一文は「書物」というエッセイから引用したものだが、これは彼が大学の講義で語った講演録の文字起こしを、本として編んだものである。
――ボルヘス曰く「古代人は書物というものを、口頭で言われた言葉の代替物と見なしていた」と。
そもそも、何かを発するとはどういうことか。
――ボルヘス曰く「詩作もしくは創作と呼んでいるものは、われわれがそれまでに読んだものの忘却と記憶とがひとつにまざり合ったものでしかない」と。
上演は戯曲に基づき三部構成で展開する。
(2017.10.1)
○ review 高嶋慈